歯周病のウソ・ホント

歯周病は多くの人に見られる疾患で、少なくとも約半数の成人が歯肉炎を経験しています。1)

歯周病にまつわる通説は数多くあるため、耳にしたこともあるかもしれません。

覚えておきたい歯周病の原因と対処法も併せ、いくつかの定説を見てみましょう。

1.歯ぐきからの出血は高齢者だけに見られる ― ウソ

歯ぐきからの出血は歯周病によく見られる症状で、主に歯の周辺や表面、また歯と歯の間に蓄積した歯垢(プラーク)により引き起こされます。小児にはあまり見られないものの、歯ぐきからの出血はあらゆる年齢層において起こります。

2.後退した歯ぐきは元に戻らない ― ホント

歯ぐきにもある程度の再生能力はありますが、いったん後退した歯ぐきはほとんどの場合自然治療では元には戻りません。

フロスを使う習慣を身につけ、適切なハミガキを使い正しいブラッシングを行うことで、歯ぐきの後退の原因となる歯垢(プラーク)の蓄積を予防しましょう。

3.歯の磨き過ぎで、歯ぐきから血が出ることがある? ― ホント

歯を磨き過ぎると歯ぐきを傷つけて血が出ることがありますが、歯周病(歯肉炎・歯槽膿漏) のサインである可能性もあります。歯磨きの時に血が混じっていたら、必ず歯科医師に相談しましょう。

歯磨きをする時は、力を入れ過ぎないことが大切です。ヘッドは小さく、柔らかめで毛先が丸いタイプのハブラシまたは電動ハブラシを使用し、1日2~3回ブラッシングをします。力を入れすぎないように気をつけ、歯ぐきに対してハブラシを45度の角度であて、弱い力で細かく振動するように動かします。また、ハブラシは1カ月に1回を目安に取り替えましょう。

4.歯周病は深刻な疾患ではない ― ウソ

歯肉炎は、歯周病の初期段階の症状で、正しい治療と適切なオーラルケア習慣により、元の状態に戻すことができます。しかし、そのまま放置しておくと、より深刻な状態となり、歯槽膿漏に進行する可能性があります。歯槽膿漏で破壊された組織は元に戻ることはなく、最終的には歯を失う恐れもあります。

5.歯科医師の診察は問題が起きた時だけ受ければいい ― ウソ

自分では問題ないと思っている方でも、歯科医師に指示された検診時期を守り、定期的に歯科検診を受けることをお勧めします。歯科医師であれば、症状が現れる前に問題を見つけ、歯周病の進行を抑えることができます。

また、歯磨きの時やフロス使用後に血が混じるなど、歯周病が疑われる症状がある場合は、できるだけ早く歯科医師に相談しましょう。

1) CDC Perio 2016; Half of American Adulsts have Periodontal disease.